あの日に戻れたら。今を大切に生きねば

考えても意味のないことだけど、夫が亡くなったあの日に戻りたい。

 

いつも考えてしまいます。

何かできることはなかったのか...

 

あの日、ほんの10分くらい前まで普通に話したのに。

 

 

心筋梗塞と書いていますが、直接の原因は

心室細動

と、死亡診断書に書いてあります。

 

心室細動は発作が起きてから1分経過するごとに10%ずつ生存率が下がるという本当に怖い病気。

 

 

ありえないけど、家にAEDがあったら助かったの?

 

それよりもどうして...

 

と考えても意味のないことばかり考えてしまう。

 

それから内臓のあちこちから出血がおきて

「もう助からない」

と医者に言われたが、何故そうなったのかが思い出せない。

 

娘達に

「あの時、先生はなんて言ったっけ?」

と聞いても娘達もおぼえていないと言う。

 

私もどうしても思い出せない。

 

 

おぼえていないんじゃなくて、それについての説明はなかったんだ。

 

医者は、

「助かっても植物状態だ」と

それを強調していて、私達の意識がそっちにいってしまったんだ。

 

 

「もう腸も動いてなかった」とか

「助かっても植物状態だ」とか

そんな説明だった。

 

 

そんなことになってしまうんだろうか。

だったら死亡診断書の死因は心室細動じゃなく、内臓から出血した事が死因じゃないのか?

 

内臓からの出血がなければ、たとえ植物状態でも生きていたはず。

 

 

 

 

 

火葬場でも、火葬が終わると館内で番号が呼ばれるのですが中々呼ばれず、

やっと呼ばれた時

「お若いので中々火葬が終わらなかった」

と言われました。

 

物凄く熱くてお骨に近づけなくて、お骨を拾えないでいたら、

「これでも火葬が終わってから30分経っているんですよ」

 

「お骨も綺麗にしっかり残っていますね」

と言われ、初めて老人の骨は火葬後はスカスカでもろいのだと知った。

 

突然心臓が動かなくなってしまった。

でもそれ以外の肉体の全てはまだまだ十分生きられるものだったんだ。

 

もちろん心臓がダメなら一発でおしまいだけど。

 

 

 

 

 

 

その日の晩御飯は豚しゃぶだった。

 

お肉はまあまあいい豚肉だったけど、

野菜は白菜とえのきと葱しかなかった。

 

夫は春菊が好きだった。

 

その日はパートが休みだったから買い物に行けばよかったけど、一日中暇だったくせに、寒くて面倒になって春菊はなしになった。

 

これが夫の最後の食事になるなんて、1ミリも想像しなかった。

春菊を買いに行くくらいのことを面倒くさがったせいで一生の後悔が残った。

 

人は簡単に亡くなってしまうんだ。

事故や災害でこの後すぐに亡くなることも普通に起こる。

 

 

この瞬間が最後の瞬間かもしれないと、今を大切に生きなければ、面倒くさがらず、家族と食事ができる瞬間を、

今を大切にしなければと思う。